【感想・ネタバレ】つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション 作:河野裕

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編集者と作家の探偵コンビの第3弾!

屋敷のどこかに眠っているはずの、一枚の絵を探して欲しいー

昔馴染みの女性の依頼で、佐々波と雨坂は、山の上に佇むある洋館に向かった。

しかし館では、不思議な現象が起こり、スズメ、人形、オーディオスピーカーは、佐々波に冷ややかに告げるー

ここから出て行け!

謎めいた人々、歪んだ愛情、嫉妬、葛藤、そして嘘・・・

果たして二人の”探偵”は、幽霊が仕掛けた物語の結末を、得意の議論で正しく描けくことが出来るのか?

以下、ネタバレ含みます。

「つれづれ、北野坂探偵舎 ゴーストフィクション」を読みを終えた感想(ネタバレ含)

●プロローグ

徒然珈琲で依頼の手紙を読む佐々波。

依頼の主は、昔馴染みである小説家・里見青あるいは里見智子。

無意識にトラウマを思い起こさせる彼女からの手紙に気が進まない佐々波と徒然珈琲のアルバイト・パスティーシュの会話で物語は始まる。

●些細で事務的な依頼

本章の始まりは小暮井ユキの夢から始まる。

夢の舞台は海辺。

登場するのはかつて飼っていた白インコの”ブランコ”

ブランコからブランコはスペイン語で「白」を意味すると教えられるユキ。

自分の知るはずも無い知識を夢で知ることになり困惑する。

夢から覚める直前、ユキは砂浜で少女を見かけ、そして目を覚ます。

目を覚ますと、前巻で登場した地縛霊(だった)”雨坂ノゾミ”が部屋に佇んでいた。

どうやら前巻の出来事によって地縛霊では無くなったようです。

起こった事態を佐々波に報告する、ユキ。

佐々波はノゾミと共に徒然珈琲に来るよう告げる。

佐々波は事態に困惑しながら、雨坂を眠りから強引に覚ます。

その後、佐々波は地縛霊では無くなったノゾミと対面する。

どうやら地縛霊からユキに取り憑く霊になったらしい。

佐々波と雨坂は依頼の主・里見智子の元に向かう。

ノゾミの願いにより、ユキとノゾミも同行する。

閑静な洋館で待っていた里見智子。

佐々波に依頼の詳細を伝える智子。

その依頼は「見つからない亡くなった姉の描いた絵を探して欲しい」ということだった。

姉は14年前に亡くなっており、自分にとって姉は”天才”だった。

その2年後、洋館の持ち主であった祖母も失踪し、現在も行方が知れない。

姉はこの館で厳格な人であった祖母とともに暮らしていたらしいと智子から聞く。

姉の死は”肺炎”だった智子は語り、祖母はなぜか姉を病院に連れて行かなかった、自分が強く言うべきだったと語る。

一方で雨坂といたユキのもとに一人の男性が現れていた。

”カラス”と呼ばれる書評家で、里見智子の叔父であるらしい。

依頼の為に館を調査する佐々波だが、行く先々で心霊現象に見舞われる。

佐々波は一旦、館の中庭のベンチに腰を下ろす。

ベンチで休んでいると、かつて家政婦として働いていたという”小田”と名乗る老婆と出会う。

老婆と話す最中、見たことのない少女が現れた。

その少女が亡くなった智子の姉・麻衣子の幽霊だと思った佐々波は追いかけることに。

しかし、佐々波は見失ってしまう。

途方に暮れる佐々波に昼食の準備が出来たと智子が声をかけてくる。

昼食の為にダイニングの集合する佐々波、雨坂、ユキ、ノゾミ、カラス、智子。

その席でカラスが智子に、佐々波に行き詰った小説の相談をすればどうかと話を持ちかける。

どうやら絵探しは”些細で事務的な依頼”であり、佐々波に本当に頼みたかったのは小説の相談だったようです。

小説のタイトルは”影の物語”

”カゲ”である主人公は、全てを持った天才である兄がいた。

その兄が死んでしまう。

カゲは兄を殺してしまう夢を何度も見るようになり、自分が兄を殺したのだと思いこむようになる。

そこまで、ストーリーは出来ているが、そこから煮詰まっているのだと智子。

智子の話を聞きながら丁寧に”編集者”として論議していく佐々波。

しかし、その途中一同をを心霊現象が襲う。

不意に辺りの光景が変化する。

現れるのは小さい頃の姉と妹、そして祖母の姿だった。

その幻は智子の12年前の記憶だった。

姉の描いた絵を飾ろうとする智子。

しかし、バランスを崩し椅子から落ちてしまう。

そこに祖母が現れるという記憶。

しかし、なぜか違和感を感じる祖母の声。

そしてなぜか祖母は付けていたはずのない仮面を付けていた。

●ゴーストフィクション

本章は物語の謎を解くヒントを詰め込んだ章になっている。

心霊現象について話す佐々波と雨坂。

雨坂の指摘により、心霊現象は他者い幻を見せるものだと断定する。

姉が死んだ時、ひどくふさぎ込んでいたとユキ(とノゾミ)に語るカラス。

カラスは祖母の日記を見つけたと言うが、ユキには決して見せなかった。

智子は少しベッドに横になり休んでいたが、ここでも夢を見る。

それは影の物語と酷似するものだった。

影の物語は自身と姉を投影した物語だった。

そして繰り返される幽霊からの幻惑。

幻惑の内容は祖母と姉の不仲の記憶だった。

しかし、智子の認識とは違い、姉の方に問題があるかのような内容だったことが、智子と佐々波らをさらに混乱させる。

混乱する状況の中で、佐々波は今回の問題点をまとめた。

ー絵はどこにある?

ー麻衣子はなぜこの家で暮らし始めたのか?

ー幽霊はなぜ、わざわざ姿を現した?

ーどうして、嘘をついている?

そのメモを見て、雨坂は「私も同じ意見だ、この方向で、良いと思います」と佐々波に言った。

この問題点を最終章で一気に解決する。

●言葉の成り立ち

リビングに集まる一同。

そして、佐々波と智子の論議が再開される。

議論を進める唐突に、声が挟まれる。

現れたのは、かつて働いていたという家政婦の小田だった。

しかし、智子により小田は行方不明である祖母”里見洋子”だという。

そして、里見洋子は館に取り憑く幽霊であることが判明する。

幽霊は姉ではなかったのだ。

祖母はなぜ、幽霊になり幻を見せていたのか。

それは、智子を辛い記憶から守るため、嘘の記憶を植え付けるためだった。

智子は姉を殺したのではなく、助けられなかったのだ。

12年前に死んだと思っていた姉は、本当は14年前に転落死で亡くなっており、2年後に幽霊となっていた祖母が改めて幻の姉を肺炎で殺したように智子に見せかけたというのが真相だった。

そして、物語の問題点は解決していく。

ー絵はどこにある?
・・・12年前に描かれた絵ははじめから存在しない。

ー麻衣子はなぜこの家で暮らし始めたのか?
・・・幻だと気づかれないため

ー幽霊はなぜ、わざわざ姿を現した?
・・・里見智子に再び嘘をつくため

ーどうして、嘘をついている?
・・・それは、里見智子を護るため

姉を神のように崇拝していた智子。

智子は姉の書く絵をとにかう模倣していた。

それを小学生の時に美術の作品として提出した事がキッカケだった。

美術の先生に叱られ、姉の迷惑になると言われた智子は落ち込んで祖母の家を訪れる。

その時、自身の絵をナイフで破いてキズを付けていた。

その絵は祖母の幻により気付かれないようにされたいたようだ。

さらに、落ち込んでいるだろう智子が祖母の館にいるであろうと察した姉・麻衣子は智子を励まそうと館を訪れる。

麻衣子は智子の為に、カメラを持って館の屋上に行こうとする。

しかし、屋上に登ろうとした時、足を滑らせてしまう。

落ちていく姉の腕をなんとか捉えた智子。

しかし、崇拝する姉に「放して!」と言われ、姉の言葉だからと無意識に従って手を放してしまう。

崇拝する姉は転落死で亡くなってしまったのだ。

その事実を捻じ曲げるために孫を愛する祖母は自殺までし、幽霊となり幻惑の能力を得て智子を護るために嘘を作り、信じ込ませていた。

しかし、智子が作品作りの経過により記憶を取り戻すかもと危惧した祖母は再び、智子の前に現れることになった。

ふさぎ込んでいた智子を知るカラスを含む家族、親族一同は当然事実を知っていた。

しかし、祖母の嘘に騙されながら生気を取り戻した智子を問いただすものはいなかった。

物語はハッピーエンドを向かえることは無かった。

密かに立ち去ろうとするカラスを追うようにユキに頼むノゾミ。

カラスとユキ(ノゾミ)の議論。

そこで”紫色の指先”についての話題がでるが、やはり今回も重要な情報とはならなかった。

●エピローグ

里見智子を送る佐々波(と雨坂:寝てる)。

車内で編集者に戻らないのかと問われる。

編集者への未練を自覚する佐々波。

喫茶・徒然珈琲に戻った佐々波。

パスティーシュに彼女は佐々波の編集者という職業への未練を見抜いていた。

パスティーシュの能力に呆れる佐々波。

店内で背中合わせで話す佐々波と雨坂。

里見洋子(祖母の幽霊)と館を出る前に話したと佐々波。

どうやら、里見洋子は”紫色の指先”と出会い、心霊現象を手に入れる方法知ったということ。

”紫色の指先”からの質問は今回もあり全部で5つ集まった。

そして、今回の幽霊は未練を達しても消えていないことが佐々波は気に入らなかった。

<END:次巻へ続く>


今作は、シリーズを通して初めて幽霊に纏わる人がハッピーエンドを迎えませんでした。

それと主人公が佐々波さんよりだなと思いました。

”紫色の指先”についての謎は深まるばかりです。

現在、第5弾まで発売されているのでシリーズで言えばまだまだ中盤。

これからどんなストーリになるのでしょうか?

次巻以降も楽しみです。

それでは失礼致しますm(__)m