【感想・ネタバレ】サクラダリセット7 少年と少女と正しさを巡る物語 作:河野裕

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サクラダリセットシリーズ、堂々完結!!

能力の存在を忘れ去るように、記憶の改変が行われた咲良田。

そこにいたのは浅井ケイを知らない春埼美空と、自身の死を忘れた相麻菫だった。

だが相麻菫の計画により、ケイはもう一度「リセット」する術を手にしていた。

より正しい未来のために、ケイは、自分自身を理想を捨て去らないがゆえに能力を否定する、管理局員・浦地正宗との最後の「交渉」に臨む。

昨日を忘れない少年が明日を祈り続ける物語、シリーズ感動をフィナーレ!

以下、ネタバレ含みます。

「サクラダリセット7 少年と少女と正しさを巡る物語」を読みを終えた感想(ネタバレ含)

●プロローグ

咲良田の街から、咲良田に住む人々から”能力”に関する記憶が奪われ改ざんされた。

浅井ケイは相麻菫に思いを馳せる。

相麻菫の強さと弱さに気付く。

相麻菫の真意に気付いたケイは、春埼美空を思う。

物語の最終章が幕を開ける。

●第1話 サクラダリセット

10月25日(水) AM7:30

浅井ケイは能力に関する記憶が奪われた世界で初めて目を覚ます。

何もかもを記憶する能力を持つ浅井ケイは、”能力がある咲良田の記憶”と”能力が無い咲良田の記憶”の両方を保持していた。

問題を把握しつつ、ケイは学校に向かう。

同じクラスには高校生になった相麻菫がいた。

激しい違和感を覚えるケイ。

しかし、相麻菫は”未来視”の能力を持たなければ普通の少女なのだとケイは思った。

昼休み、いつも春埼と過ごしていた屋上への階段へと向かう。

ケイは能力を持たない、何も知らない彼女と向き合う。

今の彼女を肯定しつつも、やはり自分は”能力の無い咲良田”を受け入れられない。

菫にはよくわからない話だったが、とにかくケイは菫に伝えたかったのだ。

午後の授業をサボったケイは駅に向かっていた。

咲良田を訪れて能力者になってから、ケイは咲良田を出ることを禁じられていた。

その縛りが亡くなったケイは、かつて自分が暮らしていた街へと向かう。

かつて、自分が暮らしていたマンションに辿りついたケイ。

しかし、何をするわけでもなく去ろうとする。

そこに小さな少女が走ってくる。

転びそうになった少女を助けるケイ。

追ってくる少女の母親。

それはケイの母親だった。

ケイは後悔していた。

一方的に家族を切り捨てたことを。

小さな少女の名前は「恵(めぐみ)」。

最終巻でついにこれまで「ケイ」と表記された来た名前が「恵(けい)」であることが分かる。

「恵」という名前に込められた意味を知るケイ。

過去の懺悔を自分を知らない母親にするケイ。

それでも、ケイは涙を流さなかった。

ケイは約束を取り付けていた春埼の元へ向かう。

春埼の家を訪れるケイ。

付いて来て欲しい所があるとケイ。

自分のルールに従って断らない春埼。

向かった先は、写真の能力者だった佐々野の家。

佐々野の能力を宿したその写真に写ったその場所に春埼を連れていき、能力が失われる前の世界で春埼の記憶を戻し、リセットしようと考えていた。

桜の場所で写真を破った二人は写真の世界に入り込む。

記憶を一時的に取り戻す春埼。

ケイは「涙ながら」にリセットを使うように春埼にお願いする。

リセットは行われ、世界は72時間巻き戻り、世界は能力を取り戻した。

リセットした世界でケイは浦地の計画を挫く事を決意する。

●第2話 ヒーローとヒロイン

1.10月22日(日) リセット後

ケイはリセット前を同じく、菫とカレーを食べて話をしていた。

ケイの部屋を出た菫は浦地達と接触すべく喫茶店に向かっていた。

途中、喫茶店への道を聞く最中、未来視の能力を使いリセットが行われたことに気付く菫。

状況が変化し、浦地達と合流してはならなくなったと判断した菫は喫茶店から遠ざかる。

その動きはすぐに管理局・浦地の知るところとなる。

浦地達に動きを読まれていると察した菫は目の前にあったビルの非常階段を登る。

浦地と索引さんに追い詰められる菫。

ビルから飛び降りて自殺しようとする刹那、頭のなかにケイのメッセージが届く。

一方、ケイは春埼、智樹を連れて菫に出会ったテトラポットに向かっていた。

そして、そこには”能力をコピーする”能力を持つ坂上がいた。

智樹や坂上は訳がわからない様子だが、時間が無いとケイ。

ケイは佐々野の能力を宿した写真を持っていた。

テトラポットにいる菫を写した写真を破る4人。

そこで過去の菫と10分間だけの再会を果たした。

未来視能力を自分にコピーさせるケイ。

その時間の流れの中で、菫の自殺未遂を知り、慌てて智樹の能力でメッセージを出したのだ。

ケイの命令に従い、時間稼ぎをする菫。

自分の存在について、浦地に暴露し、その会話のやりとりで時間を稼ぐ。

5分後、彼女は手すりから後ろ向きに落ちる。

見上げたそこには月があった。

ケイを信じる彼女は自身の死を全く予感していなかった。

彼女は何の衝撃もなくアスファルトに降り立っていた。

”消す”能力者の村瀬が、ケイの指示で菫を探して、能力で自身の全身に対する衝撃を消し、菫を受け止めていた。

ケイは引き続き、未来視を行っていた。

菫を安全に外に、咲良田の外に出すための道筋、自分の願いを叶える道筋。

何度も未来を変え、望む道筋を探して、何度も未来視を繰り返していた。

10分の再会は終わりを告げる。

ケイは春埼に菫を救う事を約束し、自身の望みをかなえる決意をする。

2.10月23日(月) 午前9時  リセット後

”記憶操作”の能力者・岡絵里は交差点でケイと遭遇する。

管理局に協力する岡絵里に、自分の味方をしろとケイ。

彼に丸め込まれた岡絵里はケイと共に朝からカラオケへ向かう。

カラオケの一室には能力者が集められていた。

春埼、智樹、村瀬、坂上、宇川、岡絵里。

ケイは彼ら、彼女らに相麻菫の復活など、これまでの経緯と状況を説明する。

そこへ、浦地から電話がかかってくる。

やりとりの末、1時間後に直接会って話すことが決まる。

協力してくれるなら、30分後に再会しようと部屋を出るケイ。

ケイは未来視でこの場面の結果を知っていた。

部屋を出たケイを追いかける春埼。

カラオケ店の非常階段で話す二人。

その他愛もない会話が、楽しい記憶を作る「約束」が、相麻菫が命をかけて伝えてくれたケイから春埼へのメッセージだった。

ケイは春埼と一緒に、カレーを作る約束をする。

約束した時、春埼の笑顔があった。

ケイは忘れたくない、素敵な記憶を増やしていた。

3.10月23日(月) 午前10時45分  リセット後

浦地達、管理局の面々はケイの待つカラオケ店に到着する。

そこに待っていたのは智樹。

智樹が部屋のドアを開けた先にはケイしかいなかった。

お互いに話し合いは成立しないだろうと思いながらも、議論をする二人。

偽りの交渉成立を宣言する浦地。

加賀谷への握手を求める浦地。

加賀谷の”止める”能力でケイそのものを止めてしまおうと画策する。

戸惑いながらも握手をするケイ。

しかし、ケイが止まることはなかった。

浦地はケイが何をしたかすぐに推測していた。

隣の個室に他の能力者たちはいた。

ケイに村瀬の能力で背後に小さな穴を開けておき、岡絵里の”記憶操作”の能力を坂上によってコピーさせていた。

”管理局に対する能力の使用”という名目でケイを拘束しようとする浦地。

その時、世界が大きく揺らぐ。

宇川の能力でカラオケ店は変化させられた。

ケイと智樹、突然巻き込まれた教師・津島と浦地は一台の車に集約された。

話し合いはここで続けられることになった。

ケイは本当に”説得”を開始する。

一方、村瀬と宇川、岡絵里と坂上は管理局の追ってから自転車2台二人乗りで逃走していた。

正義に対して語る村瀬と宇川。

ケイへの思いを語る岡絵里と坂上。

様々な想いを語りながら4人はカラオケ店から自転車で遠ざかっていた。

カラオケ店に残っていたのは春埼。

春埼は索引さんと対峙していた。

さらにそこへ現れたのは加賀谷だった。

春埼はケイが自分を切り捨てたのではなく全て計算し、この状況があることを索引さんに伝える。

加賀谷がここに残っていることも想定内なのだと。

再び、視点はケイ。

”説得”は佳境を迎えていた。

たくさんの言葉を尽くすケイ。

ケイの言葉に正しさを認めながらも考えを変えることは無かった浦地。

浦地への説得はやはり出来るものでは無かった。

しかし、”説得”する相手は浦地では無かった。

智樹の力でケイと浦地の会話は全て加賀谷に届けられていた。

咲良田の街を護る能力者、浦地の両親を生きたまま殺しているような状態。

二人の時間を止めている加賀谷は、どれほど浦地や浦地の両親から言葉を与えられても罪悪感を拭うことは出来ていなかった。

加賀谷はケイにより”説得”され、ケイの味方になる。

加賀谷に絶対の信頼をおいていた浦地は、加賀谷の裏切りを想像出来ていなった。

彼の協力が無くては自分の理想は叶わないと悟る。

ケイは目的通り、加賀谷を説得し、浦地に譲歩させることに成功した。

たくさんの不幸を少しでも幸せに変える為に。

●第3話 少年と少女

夕暮れが近い午後4時頃、相麻菫は電車に乗っていた。

一人の少女として。

一人の少年の事を想いながら。

彼とどんな理由をでっち上げて会おうか。

そんな幸せな事を考えながら。

電車は咲良田に向かっていた。

近づくにつれ、彼女は嫌でも記憶を取り戻す。

彼女は膨大な記憶を取り戻す。

彼女は泣いた。

明日、少年に会えるはずがないと、少年を傷つけたことや自分のキズを思い出して。

そして彼女は電車で眠ってしまった。

1.10月23日(月) 午後5時  リセット後

春埼は猫と意思を共有出来る能力者・野々下の元を訪ねていた。

ケイは咲良田を管理する能力を野々下と坂上の力で猫に移してしまおうと考えていた。

すぐに説得出来るはずもないが”提案”を行うために春埼に野々下のところに行ってもらっていた。

提案が終わるころ、春埼にケイから電話があった。

ケイは春埼に「協力して欲しい」と言った。

春埼は「これまでリセットした時間も含めて出会ってからの全ての時間を見せて下さい」という条件付きで承諾した。

ケイは病院にいた。

相麻菫が運ばれた病院だ。

まず、現れたのは宇川だった。

彼女からは信頼の言葉と、慰めと、チョコレートを貰った。

少しして、春埼が到着する。

その後、坂上が登場する。

ケイは絶対記憶の能力で、春埼はこれまでの全ての時間の記憶を受け取る。

2年前の口づけや、ケイの間違いや美しさを知る春埼。

全てをしって、涙を流す春埼。

ケイは間違えないと信じ切っていた春埼。

しかし、ケイが間違っていてもいいんだと、それでもケイは美しくて特別で好きなんだと分かった春埼。

二人で相麻菫に会いに行こうとケイに告げて、顔を洗いに行ってしまう。

春埼が一旦去って、ケイは坂上と二人になった。

坂上に自分の傲慢なところを指摘され、それが間違っていないと感じるケイ。

坂上はケイが思っているよりも強く、そして正しかった。

ケイは坂上に少し好感を持った。

坂上は相麻菫に会いに行くのをケイと春埼に託す。

2.10月23日(月) 午後6時50分  リセット後

相麻菫が運ばれた病院は夢の世界を作る能力者・片桐穂乃歌が眠る病院だった。

物語の最終章は、夢の世界で語られる。

相麻菫は片桐穂乃歌の世界にいた。

彼女の元に青い鳥の姿をした、夢の世界の神・チルチルが飛来する。

チルチルに頼んで菫は神様と同じ力を手に入れていた。

菫の病室に入ったケイと春埼。

睡眠薬を使って、夢の世界へ。

夢の世界に入ると、菫の姿はなくミチル(片桐)が待っていた。

ミチルから菫はここにはいないと告げられる。

なぜ、菫を助けるのかと問われたケイは「友達」だからと答える。

自分は全ての人の幸せを願っている。

でも、知らない人より知人の幸せを。

知人よりも友人の幸せを願っている。

相麻菫は自分が世界で2番目に幸せを願う人だとケイはミチルに告げる。

2番では意味がないのでしょうねとミチル。

それに納得してもらいに行くとケイ。

ケイは菫がどこにいるか確信していた。

ケイは自分のアパートに来た。

今、夢の世界いる菫と一緒に過ごしたのはここしかないからだと。

中学生の2年間、テトラポットや学校の屋上。

「相麻菫」とは確かに色々な共通の場所があったが、「今の彼女」とはケイのアパートだけが特別な場所だと考えたケイ。

自室のドアを開ける前、ケイは春埼にセーブを告げる。

咲良田の能力を巡る戦いの日々はここで完全に一旦の区切りが付くことになった。

ここより前の時間には戻れない。

次は、彼と彼女と彼女の関係の決着が、物語のテーマになる。

ケイがドアを開けると、隣にいた春埼は消えてしまう。

暗い部屋の中、やはり「彼女」はそこにいた。

ベッドの上で布団に包まって膝を抱える彼女の隣に、ケイは腰を下ろす。

ケイは彼女の心の傷がなんなのか、把握している。

ケイは相麻菫を1番にすることは出来ない。

自分が彼女を傷つけるのだとしても、きちんと気持ちを伝えようとしていた。

彼女は彼女で、ケイを苦悩させてしまうことに彼女自身、苦悩していた。

ケイは、彼女に「君のおかげで、自分は本当に幸せだった」と告げる。

涙を流す彼女。

彼女はケイに「ゲームをしましょう」と告げる。

そのゲームは「彼女の名前を間違わず呼ぶ」というものだった。

夢の世界で、ケイは彼女の名前を一度も「相麻菫」と呼ぶことはなかった。

しかし、彼はこのゲームを受ける。

視点は、春埼に移る。

突然、隣からケイが消える。

ドアを開けるとやはり相麻菫がいた。

「遅かったじゃない」と彼女は言った。

どうやらセーブから30分程経過していたようだ。

彼女の手には「マクガフィン」が握られていた。

それが、ゲームに負けたケイの姿だと言う。

それは嘘だと春埼。

話し合いの末、春埼は自分だけで”リセット”が使えるようになった事を確信する。

リセットを使い、ケイを石の姿にされる前に時間を戻そうとする。

しかし、能力を使用しよとする刹那、違和感を覚える。

春埼は彼女の意図を理解した。

彼女は春埼が自分の意思でリセットを使えるようにするためにこの展開を用意していた。

春埼のためではないと相麻菫は言う。

春埼は、ケイの隣にいるために優れた人間になりたかった、相麻菫のように。

相麻菫は、ケイに愛される春埼のようになりたかった。

お互いがお互いのようになりたいと思っていた。

ケイは、相麻菫にこれからも協力して欲しいと言って、現実世界に戻ったと相麻菫。

二人は目覚める為に、夢の世界で眠りについた。

●エピローグ

目を覚ますまでの微かな時間で相麻菫は思い返していた。

ケイは彼女の事を「相麻菫」と呼んだ。

目を覚ました菫。

視界にはケイの姿があった。

照れ隠しに「私の寝顔を見たの?」と聞いた。

それから、なぜ春埼ではなく自分の隣にいたのかと聞くと。

「月が綺麗だったから」

とケイ。

呆れる菫。

春埼と顔を合わすのが気まずいからと病室を後にする菫。

二人は握手をして別れた。

菫が病室をさって、ベッドのカーテンから顔を覗かせる春埼。

二人の関係に納得するケイ。

春埼はケイに「髪を伸ばそうと思います」と伝える。

「なぜ?」と聞くケイ。

「あなたが長い髪が綺麗だと言ったから」だと春埼は答える。

忘れることのないケイは自分が確かに言ったこと、春埼が思い出してくれて微笑む。

過去を決して忘れない少年は、明日を信じて歩き出す。

少女とともに、二人で。

<サクラダリセット:END>


ついに、終わりましたサクラダリセットシリーズ。

感想は長くなりそうなので、別の記事にしたいと思います。

それでは失礼致しますm(__)m