【感想・ネタバレ】素敵な日本人 作:東野圭吾

読書の愉楽、ここにあります。ー

たとえば、毎日寝る前に一編。

ゆっくり読んでください。

豊饒で多彩な短編ミステリーが、日常の倦怠をほぐします。

夢中になってイッキ読み。寝不足必死のサスペンス。

それもいいけど、読書は、もっと優雅なものでもあるんです。

意外性と機知に富み、四季折々の風物を織り込んだ、極上の九編、

読書の愉楽を、存分にどうぞ。

以下、ネタバレ含みます。

 

「素敵な日本人」のストーリー(ネタバレ含)

■1 正月の決意

書き初めやお屠蘇の準備が出来た達之と康代の夫婦

毎年の習慣の初詣に出掛ける。

神社への一本道を歩き、境内に着くと人が倒れていた。

倒れていたのは下着姿の77歳の町長だった。

警察に連絡しやってきたのは、やる気の無い刑事2人とやはりやる気の無い署長だった。

町長は病院に運ばれ、後頭部を殴れて記憶喪失になっているらしいと連絡がある。

町長は、誰に殴られたのか?

なぜ、下着姿だったのか?

小さな神社で起こった、小さな事件と夫婦の決意の短編。

キーワードは神社への道は一本道」「福男」

■2 十年目のバレンタインデー

小説家の峰岸は、10年前に突然振られた彼女・津田知理子とバレンタインデーに10年ぶり会うことになった。

10年ぶりの再会に胸を躍らせる峰岸。

峰岸の小説家としての活躍、本の内容の話をする知理子。

甘い夜の時間を期待していた峰岸だが、話は思わぬ方向に向かう。

知理子の友人が10年前に自殺してしまったという話。

1人の「男」の嘘を暴く短編。

キーワードは「小説」「休載」「下心」

■3 今夜は一人で雛祭り

嫁の加奈子に先立たれ、娘の真穂が結婚する事になった三郎

娘の真穂が嫁ぐ先は地元の名家で、大病院を経営しているような家だった。

自分の夢の為に出版社に就職していた真穂は、名家の家に嫁ぐため退職するという。

結婚のために娘が無理をしているのではないかと思った三郎。

しかし、真穂は「そんなことない、私はお母さんの娘」だからと言って笑っていた。

しまっていた雛人形を見て、嫁の加奈子の意外な一面に改めて気付いた。

「女の強かさ」を描いた短編。

キーワードは「京都」「鏡」

■4 君の瞳に乾杯

休日の競馬場に内村はいた。

顔なじみのハマさんと話した後、ふと後ろから声をかけられる。

大学の同期の柳田だった。

柳田「久しぶり、今お前何してるの?」

内村「広告関係の会社に就職した。」

ありきたりな再会の会話の後、柳田に合コンに誘われた内村は喜んで合コンに参加した。

合コンでモモカというアニメ好きな女性に出会った内村。

自分もアニメ好きな内村は彼女に惹かれてゆく。

何度かデートを重ねる内村。

ついに告白という時、彼女の瞳を見つめた時、彼女の隠された秘密を知る。

目は口ほどの物を言う短編。

キーワードは「瞳」

■5 レンタルベビー

未来の世界。

夏に刺激的な事をしたくなったエリー。

結婚の晩婚化、あるいは非婚化と言われるようになった世界。

エリーは結婚にはメリットを見いだせないと思いながら、子育てには少し関心があったため「疑似子育」体験をしてみることにした。

赤ちゃん型アンドロイド「パール」と名付け、ボーイフレンドの「アキと疑似子育てをするエリー。

子育ての大変さを実感しながらも徐々に愛着が湧いてくるエリー。

いよいよパールとのお別れ、その後意外な真実がいくつか発覚する。

子育ての真剣さを問う短編。

キーワードは「晩婚」「非婚」

■6 壊れた時計

「俺」は困っていた。

失業中で家賃を3ヶ月も滞納していた。

「俺」は金にもだらしがなく、交通違反で何度も捕まるような考えの浅い人間だった。

そんな時、携帯に「A」から着信が入る。

「A」は周旋屋で、「俺」は過去に何度か危ない仕事に関わっていた。

今回の仕事は、「白い彫像」の入った白いケースを盗み出して犯行時刻を残してくることだった。

金に困った「俺」は仕事を引き受ける。

指定されたマンションの一室に侵入し、部屋を探しても見つからない。

そうこうしている間に部屋の主が帰宅してしまう。

とっさに突き飛ばして逃げようとした時、部屋の主を殺してしまう。白いケースは部屋の主の手に握られていた。

焦った「俺」は「A」に連絡すると、問題ないから「わざとらしいことをせず」に立ち去れと指示される。

無事に「A」に目的の白いケースを渡し、報酬を手に入れた「俺」。

大量の1万円札を手に入れて家賃も払えそうだと一安心。

しかし「俺」は壊れた時計が気になってしまう。

壊れた時計をどうするか。

「俺」は悩んだ末・・・

蛇足とはこの事という短編。

キーワードは「新札」「時計」

■7 サファイアの奇跡

小学生の少女・未玖は学校の帰りに神社による習慣があった。

神社には茶毛の猫・イナリがいるからだ。

野良猫だけど、未玖は自分でピンクの首輪を用意して付けてあげた。

未玖はイナリと過ごす時間を楽しみにしていた。

チーズかまぼこは食べないのにマシュマロは食べる。

そんな少し変わった猫に未玖は将来の夢を心の中で語って過ごしていた。

未玖の将来の夢は美容師だった。

そんなある日、神社でイナリを見かけなくなった。

社務所のおじいさんに聞いても分からなかったけれど、学校からの帰り道、ふと道路のガードレールに見覚えのあるピンクの首輪を見つける。

それは未玖がイナリに付けた首輪だった。そこには花が添えられていた。

誰が花を添えているのか見張っていた未玖は花を添えている人物を見つける。

軽トラに乗って来た男。

彼は運転中に急に飛び出してきたイナリを轢いてしまったらしい。

男はイナリを動物病院に連れて行ったが、亡くなってしまったのだと説明してくれた。

未玖は男に連れられて、その病院に向かった。

そこで未玖は不思議な気配を感じる。

気配を辿って歩いていると、1つのケージに行き着くのだった。

一方で、青色の毛を持つ猫・サファイアが存在していた。

「サファイアの奇跡」と呼ばれる青い毛を持つその猫は、「サファイアの呪い」という伝承も併せ持っていた。

2匹の猫と、少女。

発想の転換が道を拓く短編。

キーワードは「発想の転換」

■8 クリスマスミステリ

貧乏劇団員の売れっ子・黒須人気脚本家の弥生に殺意を抱いていた。

黒須は弥生のおかげで売れっ子俳優になれたが、15歳ほど年上な弥生と男と女の関係を気付いてしまう。

しかし、若い女優と恋愛関係になってしまった黒須は業界に顔が利く弥生が邪魔になった。

揃って参加する事になっていたクリスマスイブのパーティーの前に二人は会う約束をしていた。

黒須はそこで、かつて弥生が話し所持している毒物・マンドラゴラを使って弥生を殺害しよと企む。

毒を含ませたワインを飲んだ弥生は倒れてしまう。

自分がいた痕跡を消した黒須は劇団に戻り、その後パーティーに出席する。

そこに死んだと思っていた弥生が現れたのだった。。。。

予想しやすい展開と雁字搦めのミステリー短編。

キーワードは「偽装工作」「観察眼」

■9 水晶の数珠

アメリカで俳優として成功する夢を追いかけている直樹

バイト中に電話がかかってくる、姉の・貴美子だった。

貴美子によると、父・真一郎が癌で余命幾ばくもない、だから父の最後の誕生日パーティーに来て欲しいということだった。

直樹の実家、度会家は地元の名家であり直樹はその度会家の長男だった。

一度は地元の企業に就職していた直樹だが、自分の夢を追いかけるために度会家、父の真一郎に勘当されながらアメリカに渡っていたのだった。

大事なオーディションがあるが、父が余命幾ばくもないという事情から7年ぶりにアメリカから日本に向かった直樹。

実家に向かう電車を降りると父から電話があった。

父からの電話は直樹の夢を嘲笑し、直樹を怒らせるものだった。

怒った直樹は父の誕生日パーティーには参加せず、アメリカにトンボ返りしてしまう。

3週間後、真一郎は亡くなった。

訃報を受けた直樹は、日本に戻る。

地元の名家の当主の葬儀は盛大に執り行われる。

葬儀の後の通夜振る舞いで、親族から「水晶の数珠」言い伝えを聞く直樹。

にわかに信じがたい話だったが、真一郎からの遺言書は「水晶の数珠」の取扱説明書だった。

「水晶の数珠」の力は本物なのか?

「真一郎はいつ、何のために水晶の数珠を使ったのか?」

父と愛と、覚悟を決める男の短編。

キーワードは「止まらないこと」

 

「素敵な日本人」を読みを終えた感想

短編って読みやすくて僕は大好きです。

今回、タイトルが「素敵な日本人」ですが、、、

「素敵」なのは結局、最後の「水晶の数珠」くらいで、あとは全然素敵じゃないのが笑えましたw

帯に「日常の倦怠をほぐす」とあるのですが、まさにそんな感じです。

難しいストーリーやトリックはありません。

優しいマッサージを受けているような短編が集まっていて、読後リラックスしているように感じました。

やはり短編集はいいですね♪

それでは失礼しますm(__)m

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