【感想・ネタバレ】霊感検定~春にして君を離れ~ 作:織守きょうや

霊が視えても不幸じゃない。君を、救いたい。ー

最愛の兄を突然失い悲観にくれる弟の携帯に届く、兄からのあり得ない着信。

霊が視えないのに心霊相談を持ち込む母親の苦悩。

人知れず例に悩むものを心霊現象研究会は秘めやかに救い続ける。

霊を信じない同級生の冷たい視線も気に留めぬ、霊感高校生たちの一途な行動が感動を呼ぶ青春ホラー。

以下、ネタバレ含みます。

 

「霊感検定~春にして君を離れ~」の登場人物

■藤本修二(ふじもとしゅうじ)・・・大阪から東京にやってきた転校生。九条高校二年。霊検三級。眼鏡。

■羽鳥 空(はとりそら)・・・不思議な空気をまとう少女。九条高校二年。霊検準一級。小柄。

■伐 晴臣(ばつはるおみ)・・・空の幼なじみ。過保護。九条高校二年。 霊検準二級。美形。

■夏目 歩(なつめあゆむ)・・・陽気なムードメーカー。新宿東第一高校二年。霊検二級。あなどれない。

■筒井 遥(つついはるか)・・・欠かせない男。新宿東第一高校二年。霊感ゼロ。いい奴。

■和泉清貴(いずみきよたか)・・・新宿東第一高校二年。兄・貴之を交通事故で失う。

■清水笛子(しみずふえこ)・・・図書委員。九条高校三年。クールビューティー。陰の実力者の風格。

■馬渡先生(まわたり)・・・九条高校司書。自称心霊現象研究家にして心霊現象研究会会長。「霊感検定」を開発。

「霊感検定~春にして君を離れ~」のストーリー(ネタバレ含)

■第1章

和泉清貴には、面倒見の良い兄・貴之がいた。

貴之は恋人の陽奈子と結婚するタイミングで清貴の通う高校の近くにマンションを借りることにした。

清貴は父親と上手くいっておらず、貴之が気を回して新婚の自分たちと新しいマンションで住もうと言われる。

そうして、貴之、陽奈子、清貴の3人の生活が始まろうという時、貴之が交通事故で亡くなってしまう。

貴之が亡くなった後も、清貴は陽奈子の希望で新しいマンションで暮らすことになった。

貴之と陽奈子の通の友人の安田も、度々様子を見に来てくれていた。

そんな清貴に心霊現象が次々に発生する。

勝手につくテレビ、亡くなった兄からの着信。

困惑する清貴。

事態を深刻に思った安田は、心霊現象研究会の馬渡に相談する。

後日、夏目を伴って現れる馬渡。

夏目と馬渡を歓迎するつもりはない研究会はだが、自分の中でも心霊現象が兄の仕業なのか、自分の未練が生み出すものなのかハッキリさせたかった。

渋々協力する清貴だったが、事態はその日のうちに解決する。

「本当に心霊現象だったのか?」

その疑惑を夏目が鮮やかに解決してくれます。

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★彼女の話:about her 1★

まだ眠っていた修二に姉・有希から電話がかかってくる。

姉いわく、自分も心霊体験をした。

その話を従姉の美咲にしたらやけに深刻に食い付いてきて、弟の修二の方が力になれるからと話したので、相談に乗ってやって欲しいということだ。

そして、姉の心霊体験は眠っていたところにふと気付くと女の子が立っていたということだった。

修二の身内にはこれまで誰も心霊現象を体験した者がいなかった。

修二は姉の見たという霊が、本当に霊だったのか?あるいは実は人間なのではないかと考え、姉の危険な体験にゾッとするのだった。

■第2章

姉の頼みで従姉の美咲に連絡をとる修二。

しかし、美咲は相談内容を話したがらない。

修二は直接、美咲に会って相談する事に決める。

心霊現象と聞いて喜んで協力する馬渡を連れて、美咲のマンションに赴く修二。

実際に会って相談を受けると美咲は2年前から1年前にかけて幽霊が視えていたが、今では視えなくなった。

視えていた時は妊娠中で、妊娠ノイローゼかと思ったなど当時の不安を語ってくれる。

一通りの話を聞いて、馬渡に霊感検定を受けて欲しいと言われるが渋る美咲。

部屋の中を調べるのに躊躇の無い美咲が、なぜか霊感検定を受けようとしないことに違和感を感じる修二。

部屋を調べて異常がないことが分かった馬渡に、心霊現象の原因が美咲にあるか判断するため霊感検定を受ける必要があると聞いた美咲は渋々、霊感検定を受けることになった。

後日、美咲の霊感検定の結果が分かるが、美咲の霊感検定は6級で至って常人の結果だった。

修二たちでは手におえないので霊感の強い空を伴って再度美咲のマンションを尋ねる。

空が見てもマンションに何か悪いところは無かった。

そこに、1歳の娘「奏」をベビーカーに乗せた美咲が帰ってきた。

奏を見る空につられて、修二も奏を覗き込む。

心霊現象の原因が分かった修二と空だった。

美咲の部屋に迎えられ、改めて奏が原因であると話す修二。

娘の霊感の強さを不幸に感じてる美咲は、目の前の霊感が強い少年と少女の内心を慮ることがその時は出来なかった。

美咲の胸中を理解しながらも、修二は耐えれれず「霊感が強いことが不幸ではない」と言ってしまう。

子どもの頃には視えないものが視えたり、それが他の人には視えないことで傷付くこともあるけど、その時理解者がいてくれたどれだけ救われるかを美咲に伝える修二。

美咲に修二の思いはきっと伝わった。

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★彼女の話:about her 2★

晴臣は夏目に新しい護符を受け取りに来ていた。

空との出会い、馬渡と心霊現象研究会のおかげで自分と同じく霊感の強い人達に出会えたこと。

晴臣の意外に柔軟な心境が語られる。

■第3章

修二は行きつけスーパーへ向かっていた。

道中、顔見知りの店員さん・鳥谷に会う。

以前は良くスーパーで会っていたが、近頃は会っていなかった。理由は鳥谷に娘が産まれたため昼までのシフトにしていて貰っていたからだった。

軽く世間話をして二人は別れる。

同じ頃、夏目は筒井と歩いている時、嫌な感じのする男とすれ違っていた。

何やら独り言をつぶやきながら歩く男の事は警察である吉岡にとりあえず報告しておいた。

そして、その男が通り魔殺人をおこす。

次の日、夏目から報告を受けていた吉岡が、心霊現象研究会にも助言と報告のために訪れていた。

そして、通り魔の被害者が昨日会った鳥谷であった事にショックを受ける修二。

事件は心霊現象では無かった。しかし、鳥谷の祖父がかつて殺人事件をおこしており、その被害者が今回の加害者の祖父である事が分かった。

血に刻まれた因縁。

そういう事で事態は結論づけられる。

自分の無力感を感じる修二だった。

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★彼女の話:about her 3★

夏目は校門前で右往左往している少女を見かける。

話しかけると、ある生徒の忘れ物を届けたいとい事だった。

夏目は校門に貼っている護符を剥がす。

少女は幽霊だった。

忘れ物は男物のハンカチ。

忘れ物の主は2年3組。

病気がちな彼女は学校で迎えの車を待っている最中、体調が悪くなった。

その時に現れた男子生徒が貸してくれた。その男子生徒は返却は不要だと言ったがなんとかクラスを教えてもらっていたらしい。

夏目は誰が少女にハンカチを貸したのか察した。

目的の生徒の机に辿り着いた少女は無事に、成仏した。

そこに机の主である、筒井が帰ってくる。

少女は筒井がハンカチを貸したことなど忘れていると言っていたが、夏目はそんな事は無いと確信していた。

筒井は夏目から渡されたハンカチを見て、確かに少女の事を覚えていた。

夏目は背後に気配を感じて振り返る。

成仏寸前の少女は笑顔だった。

強い霊感など無くても、霊になった少女の心を救える筒井に夏目は心を暖かくされる。

■第4章

筒井は美化委員の先輩・高尾理子に呼び止められる。

理子の友人の市ノ瀬真弓が心霊体験をしているらしいので、夏目と仲の良い筒井にまず声をかけたらしい。

先輩に頼まれた筒井は嫌とも言えず、夏目を呼び出す。

夏目はすぐに現れ、真弓の話を聞きすぐに協力してくれることになった。

夏目は自分にはこれから用事があるのですぐに協力してくれる心霊現象研究会に連絡するため一旦その場を離れる。

そこに、夏目の能力を疑う3年生の先輩たちの容赦ない言葉が飛び交って筒井は暗い気持ちを抱えることになった。。。

真弓に協力する事になったのは相変わらず、馬渡と修二だった。

真弓の家に向かう途中、修二は説明を受ける前に真弓の部屋に幽霊を視る。

しかし、視えたのは一瞬で部屋に着いても幽霊が視える事は無かった。

その日は、真弓の部屋を寝ずの番する事になった修二。

馬渡は引き上げ、真弓の部屋に修二。隣の和室に真弓と理子が控えることになった。

監視を始めても何も起こらない。

気詰まりになった時、カーテンが開きっぱなしになっていることに気づいた修二はカーテンを閉めよとする。

その時、再び一瞬だが幽霊が視えた。

しかし、やはり部屋には幽霊はいなかった。

タイミング良くそこに夏目が現れる。

二人はお互いの考えや推論を合わせるうちに真相に辿り着く。

幽霊が視える原因、対処法を聞いた真弓は安堵した様子だった。

事態が解決しても、夏目を疑う人たちの雑音が消える事は無かった。

夏目の気持ちを考えた筒井は憤りを隠せなかったが、夏目により気持ちを沈められる。

夏目は筒井のような人の存在のおかげで救われているようだった。

■エピローグ

和泉清貴はバイクでの交通事故の怪我から入院していたが、無事に退院する事が出来ていた。

しかし、清貴には事故後から幽霊が視えるようになっていた。。。。

「霊感検定~春にして君を離れ~」を読みを終えた感想

シリーズ第3弾になりました。

今回は「理解してくれる人の存在」の大切さをテーマにしていたような気がしました。

自分にしか視えない事の不安や、疎外感は誰かが信じてくれれば救われる。

何度もそういったメッセージが書かれていたように思いました。

最後のエピローグは新たな心霊現象研究会のメンバーを予感させる終わり方でしたね。

次巻も発刊されたら読みたいと思います!

それでは失礼しますm(__)m

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