【感想・ネタバレ】殺人出産 作:村田沙耶香

正義とは何か。常識とは何か。世界の変化は止められない。

今から百年前、殺人は悪だった。

産んだら、1人殺せる。

命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」で人口を保つ日本。

会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。

蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。

未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。

昨日の常識は、ある日、突然変化する。

4作の短編集。

以下、ネタバレ含みます。

 

「殺人出産」のストーリー(ネタバレ含)

■殺人出産

避妊技術の発展で自然妊娠の減少と反比例して、人工授精が増加した世界。

セックス=妊娠では無くなった世界では人口減少が問題になった。

そこで導入されたのが「殺人出産システム」

「10人産むと1人殺せる」というシステムで人口減少は歯止めがかかった。

さらに「産み人」と「死に人」という存在がいた。

「産み人」・・・殺人出産システムを利用し殺人を行うために出産を続ける人(男女問わない)

「死に人」・・・産み人によって殺される1人。

産み人は人口問題への貢献の高さから崇められる存在になった。

殺人が容認された世界では「死刑」は無く、10人産んだ産み人以外の人間」が殺人を犯すと「産刑」に処され、死ぬまで牢獄で出産を繰り返さなければならない。

主人公・育子には産み人の姉・環がいた。

従姉のミサキ、同僚の早紀子。

4人の人間を中心に物語は進む。

変わる「生と死」の価値観。

何が罪で、何が罰か。

変わる時代の流れや価値観の迎合と、普遍の価値観を探す物語。

■トリプル

男女の付き合いかたに二人で付き合う「カップル」と三人で付きあう「トリプル」がある世界観。

主人公の真弓には誠と圭太というパートナーがいる。

カップル派とトリプル派が混在する世界で、どちらも許容出来る人間は少なく、価値観はぶつかり合う。

「恋人の定義」を問いかける物語。

■清潔な結婚

主人公の高橋ミズキ「家族の定義」について新時代の考え方を持った夫婦の妻だった。

なぜ、母親になったり、女になったり、友だちになったり、良き理解者になったりしなければならないのか。

家の中では自然な自分でありたいと考えるミズキ。

夫婦間にはセックスはないが、受精による子供を望んだ結果・・・

■余命

医療の発達により「自然死」がなくなった世界。

「死」は自分で選べる時代になった。

死に方、死ぬ時期。

役所では死亡許可証を貰って、薬局では死ぬための薬を貰う。

多様化する「死に方」。

一見自由度の高そうな世界だが、結局、外聞や世間的、死後の評判を気にして「それなり」の死に方を選ばなければならなかったりする。

「殺人出産」を読みを終えた感想

独特な世界観で語られる物語。

一貫しているのは「価値観の変化」の迎合と拒絶。

現実の世界とは「生」と「死」に関する事柄、例えばセックスや男女の付き合い、女のあり方が大幅に価値観が違います。

さらに殺人出産では「産む事」を罰として与えられています。

殺人出産システムという設定。

誰かを殺したいがシステムに従わないと、永遠に出産しないといけない、殺したければ10人産まなくてはいけない。

言葉だけ聞くと確かに、人口減少に有効であるように思える恐ろしさが有ります。

とにかくセックスやら人工授精という言葉、現在の価値観では狂っているとしか言いようがない人々ばかり出てくるので好き嫌いがかなり分かれる作品だと思います。

読む際には心して読みましょうww

それでは失礼しますm(__)m

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