【感想・ネタバレ】時をめぐる少女 作:天沢夏月

その並木道で出逢ったのは未来の自分と過去の自分

 

並木道の奥にある小さな広場では、未来や過去の自分に逢えるらしいー。

 

その日、九歳の葉子の前に現れたのは、恋人と婚約したばかりの将来の自分自身で・・・。

 

母親との衝突、繰り返す転校、上手くいかない就活、そして不安が押し寄せる結婚。

 

いつも悩んで涙をこぼしてばかり。

 

だけど、そうしてめぐっていく時間の先に、「私」は幸せを手に入れたのだろうか?

 

それぞれの時代、五月の憂鬱な一日。

 

過去と未来が入り交じるこの特別な場所で、私はいつかの私と向かい合う。

 

以下、ネタバレ含みます。

 

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「時をめぐる少女」のざっくりストーリー解説(ネタバレ含)

■Ⅰ ”9-years old”

 

主人公・一瀬葉子は9歳。

 

小学4年生で、母とは喧嘩ばかりだった。

 

父は離婚しておらず、顔も覚えていない。

 

 

 

母親の仕事の都合で引っ越しが決まる。

 

一方的な母の態度に苛立つ葉子。

 

いつもの公園で時間を過ごしていた。

 

そんな時、一人のお姉さんと出会った。

 

不思議と自分の考えを読まれる葉子。

 

これまで我慢していた感情をお姉さんに話すことで少し落ち着く事が出来た。

 

お姉さんの方も、恋人と婚約したばかりで悩んでいたようだった。

 

 

 

また違う日、公園へ向かう。

 

またお姉さんと逢えるかなと思っていたけど、そこには洋風なおじいさん。

 

葉子はおじいさんの事を「ぼうしさん」と呼ぶ。

 

ぼうしさんは公園の秘密を教えてくれる。

 

日時計あるこの公園。

 

時計回りに回ると未来へ、反時計回りに回ると過去に行けるという。

 

その話を聞いて、先日出逢ってお姉さんが未来の自分の可能性があると気付く葉子だった。

 

 

 

母の日は母の誕生日でもあった。

 

これまで母を避けていた葉子は今日くらい母を迎えてあげようと早めに家にかえることにした。

 

家に帰ると家は真っ暗。

 

ガッカリと怒りがこみ上げる葉子。

 

しかし、家の中を良く見ると、母が倒れていた。

 

 

 

母が倒れた原因は「過労」だった。

 

父もおず、母までいなくなってしまう事に葉子は怖くなってしまう。

 

母が倒れたことで葉子も母も本音で話し合うことが出来た。

 

 

 

母とわだかまりも解消されて、引っ越しも近づく。

 

葉子はお姉さんにもう一度逢いたい、逢えると思って公園に向かう。

 

葉子の感じた通り、未来の自分ともう一度公園で出逢うことが出来た。

 

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■Ⅱ ”13-yeras old”

 

葉子は中学生になっていた。

 

あれ以来、母が転勤族なので何度も転校を重ねていた。

 

転校した先の学校で上手く馴染むため、部活動に入ったり、苦手な愛想笑いをしたり難しい年頃だった。

 

 

 

そして、何度かの転校を繰り返して子どもの頃に住んでいた近くの街に帰ってきていた。

 

かつての公園での出来事は”とけいじかけのプロムナード”という都市伝説となって噂になっていた。

 

実際に”とけいじかけのプロムナード”を体験していた葉子だが、周りからの視線を気にして信じないフリを続けていた。

 

 

 

葉子のクラスにさらに新田杏奈という転校生が。

 

容姿も目立ち、部活動も真剣に打ち込む杏奈。

 

例の”とけいじかけのプロムナード”も経験した事があると正直に話してしまう。

 

杏奈は次第に部活でも教室でも浮いてしまう。

 

クラスも部活(バレー部)も一緒な葉子は杏奈を見て苦い思いを募らせていた。

 

そして、ある日の朝。

 

クラスメイトの仕打ちで教室の前で立ちすくんでしまう杏奈を見て、葉子は杏奈を連れて学校を走り去ってしまう。

 

”とけいじかけのプロムナード”を自分も体験した事を話す。

 

それ以来、二人は親友になった。

 

 

 

葉子と杏奈は再び”とけいじかけのプロムナード”の公園を訪れることにする。

 

葉子がこれまで近くに住みながらもそこに行かなかったのは、周りから浮きたくないという思いからだったが、それが息苦しいさを感じさせていた。

 

その思いから開放されるが、”とけいじかけのプロムナード”の公園にはなぜか二人ともたどり着けなかった。

 

自分たちの体験した事は決して夢や幻で無いと信じていた。

 

■Ⅲ ”21-years old”

 

葉子は大学4年生になっていた。

 

葉子は自分が”何がしたいか”が分からないでいた。

 

そのためか、就職活動は上手くいかず悩んでいた。

 

 

そんな時、自分を救ってくれたのが月島洸(ヒカル)だった。

 

自分の事をしっかり見て、分かってくれる存在が葉子にとって大きなものだった。

 

葉子は”何がしたい”かはともかく、”なりたい自分”に気付くことが出来た。

 

■Ⅳ ”28-years old”

 

葉子はエンジニアになって、社会人として立派に働いていた。

 

ヒカルとはあれ以来ずっと付き合っている。

 

そして、ヒカルからプロポーズされる。

 

かつての幼いことの自分が出逢った、未来の自分のようにやはり葉子は悩んでしまう。

 

 

 

自分にとってヒカルは居心地の良い、ピッタリな存在だった。

 

しかし、ヒカルにとっての自分は果たしてそうなのか?

 

ヒカルは自分に合わせてくれているだけなのではないのか?

 

そうだとしたら、いつか上手くいかなくなるのではないのか?

 

 

 

自分の両親が離婚している事も含めて不安を感じていた葉子。

 

自分の過去の経験から、いまなら”とけいじかけのプロムナード”の公園へ行き着くことが出来るのではと考える葉子。

 

ついに過去の自分と出逢う時が訪れる。

 

 

 

”いつか”に怯えていた葉子。

 

不安を拭い去ってくれるヒカル。

 

悩みを捨てた葉子は、過去の自分との2度目の対峙に向かう。

 

過去の自分が探す”ある物”を渡すために。

 

「時をめぐる少女」を読みを終えた感想

 

自分と向き合うこと。

 

家族と向き合うこと。

 

友人と向き合うこと。

 

恋人と向き合うこと。

 

葉子という一人の少女、女性と時間旅行を使ってその重要性を描いているのかなと思いました。

 

どうかこれから、葉子が幸せになる事を祈りたくなる作品でした!

 

それでは失礼しますm(__)m

 

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