2017年07月一覧

【感想・ネタバレ】人生相談。 作:真梨幸子

一通の新聞投書からはじまる、悲劇。ー

 

父が遺してくれた家に、見知らぬ家族が住み着いた。

 

しかも我が物顔で

 

「居候の女性が出て行ってくれません」。

 

悩める十六歳から太陽新聞の「よろず相談室」に届いた一通の人生相談。

 

掲載された回答から導かれた予想外の悲劇は。

 

投書される誰にでも起こりうる身近な事件が、大きな殺意に繋がっていく。

 

以下、ネタバレ含みます。

 

 

 

「人生相談。」のざっくりストーリー解説(ネタバレ含)

■居候している女性が出て行ってくれません

 

小坂井剛は姉と母と祖母で父の遺した家に住んでいた。

 

しかし、その家にいつからか居候が住み着いていた。

 

居候一家の母・カズコ、姉のふみ、弟のケン。

 

小坂井一家は居候の一家の横柄な振る舞いに辟易していた。

 

剛は友達を呼んで誕生日会を開きたかったが、居候一家がいてはそれも叶わいないと思っていた。

 

しかし、姉がなんとかしてくれると言った。

 

一体どんな手を使うのか、剛は不安だった。

 

 

 

時は経って剛は23歳になっていた。

 

キャバクラでお気に入りの女の子を指名して上機嫌な剛。

 

自分の昔話で気を引こうとするが、喰いつきは悪い。

 

どうやら居候の一家は突然、姿を消したらしい。

 

剛は姉や母が殺害したのではと密かに疑ってはいたが、まさか本当にそうだとは思っていなかった。

 

剛のお気に入りのキャバクラ嬢・カノンの誕生日が近い。

 

No.3ホステスのナオミにそそのかされて、一千万のバッグをプレゼントしようとする。

 

もちろんそんなお金のない剛は自宅の家と土地を売ろうと考えた。

 

しかし、不動産屋に行くと土地の名義が”ハラダ カズコ”になっていた。

 

なぜ、土地の名義がハラダに?

 

不動産屋に言われた「あなたがたの方が居候のようですが?」という言葉が突き刺さる。

 

自分が居候だったのかと混乱する剛は、家の物置に足を踏みいれる。

 

そこに忽然と姿を消したハラダカズコの死体があると予感を覚える剛。

 

剛は恐ろしくなって物置から逃げ出した。

 

散乱した紙の中に「よろず相談室」と書かれた紙も含まれていた。

 

 

 

■職場のお客が苦手で仕方ありません

 

出版社の編集者である岡部康

 

今日もキャバクラ・ハニーフラッシュに来ていた。

 

No.2ホステスのカノンに120万円のロレックスを贈るくらい入れ込んでいる。

 

カノンと話していると根元浩之という男がハニーフラッシュのNo1ホステス、アキナに入れ込んでいる話を聞く。

 

しかも、会社の金を横領している噂まであるという。

 

そのアキナは根元の事を嫌っていて、彼に対してアキナはガンだと嘘をついて避けているらしかった。

 

そんな話をしながらも、カノンとどうにかラストまで一緒にいたいと考える岡部。

 

財布の中が心許ない岡部は作家との打ち合わせ経費にするために後輩の美穂売れない小説家・樋口義一をハニーフラッシュに呼び出す。

 

 

 

あからさまな不正行為に憤りを隠せない美穂だったが、樋口を説得してなんとかハニーフラッシュに向かおうとした矢先、岡部から来なくていいと言われる。

 

またしても、怒りがこみ上げる美穂だった。

 

明くる日、会社のお金を横領したというニュースが流れる。

 

どうやら根元は本当に会社のお金を横領して、アキナに貢いでいたようだ。

 

根元にあった事を自慢げに話す岡部にさらにイライラする美穂だった。

 

 

 

美穂は行きつけのエステサロンを訪れる。

 

同郷(群馬)のエステティシャン・メグミ

 

今回の相談者はアキナでも、カノンでもなくメグミだった。

 

美穂はメグミが喜ぶと思ってネギを持って訪れる。

 

メグミがネギアレルギーだとも知らずに。。。

 

■隣の人がうるさくて、ノイローゼになりそうです

 

米田美里は昼休みに、同僚の山本千佳らと話していた。

 

彼女らは都内の高級マンションのコンシェルジュの派遣社員として働いていた。

 

ニュースによるとどうやら、エステティシャンがネギアレルギーで死んだらしい。。。

 

それはそれとして、美里は隣人・西野奈々子の神経質すぎるクレームに悩んでいた。

 

少し音を立てただけで、壁ドンなどしてくるし、ポストに気味の悪い投書をしてくるのだ。

 

話していると、山本さんの方は裏の家がゴミ屋敷で悪臭が漂ってくるらしい。

 

そこには20そこそこの男性が一人暮らししているらしいのだが・・・

 

 

 

本気で引っ越しを考える美里は不動産屋を訪ねるが、自分の希望している物件がないばかりか不動産屋から説教までされてしまう。

 

その帰り道、西野奈々子の姿を見かける。

 

西野奈々子は美里を見つけると、突然狂いだして襲ってくる。

 

美里は気絶してしまう。

 

 

 

目を覚ますと病院で、田舎から母が駆けつけてくれていた。

 

母に田舎に帰ってこいと言われて、これ幸いと仕事を辞めて帰郷する。

 

美里は実家に戻り、お風呂に入っていた。

 

しばらくすると、お風呂に近づく足音が聞こえる。

 

母が自分に気付かずにお風呂に来ているのだと思った美里。

 

その頃、母は自転車のペダルを必死に漕いでいた。

 

鍵をかけ忘れている上に、隣人との騒音トラブルがあることを話し忘れていた。。。

 

■セクハラに時効はありますか?

 

純一はかつて会社にいた女性社員にセクハラの域を超えた行いをした者がいるという投書があることを正義感の強い飯田博美に話す。

 

純一が期待したように博美は怒り出した。

 

純一は密かにほくそ笑む。

 

 

 

その噂を葛西健人は上司である大崎課長から聞かされる。

 

健人は山本千佳の婚約者で結婚を控えていた。

 

大崎のデリカシーの欠片もない話に改めて人望のなさを再確認する。

 

大崎から例の噂の男は大崎の同期である豊田課長だと聞かされる。

 

ルックスが良く、ある程度の事は許される傾向にあった豊田が噂の男だという説に葛西は納得した。

 

 

 

明くる日、社内は例の噂で水面下でざわついていた。

 

しかし、社内には豊田がこのように自分と分かる投書をするわけがないという意見が多かった。

 

「マッチポンプ」

 

疑いの目は大崎に向かう。

 

 

 

葛西は恋人の千佳とホテルへ。

 

葛西は千佳の欲情ぶりを録音するのだった。

 

明くる日出社すると、セクハラの被害者である浅川が受付に。

 

投書したのは浅川だった。

 

浅川は豊田課長を訴える決意を固めていた。

 

様子のおかしい浅川から逃げるように自分のデスクに座る葛西。

 

葛西は社内メールと、プライベートのメールを間違える。

 

千佳に昨夜の録音を送りつけるはずが、社内に向けて恋人の欲情した録音を送りつけてしまう。

 

葛西は気付かない。

 

正義感の強い飯田博美はそれを聞いて、激怒していた。

 

一方で豊田純一課長

 

飯田博美によって広められた騒動。

 

矛先は思惑通り大崎に向いてほくそ笑む。

 

大崎が失脚し、自分が部長に昇進だと調子に乗っているが、浅川に訴えられる事は知らない。

 

■大金を拾いました。どうしたらいいでしょうか?

 

野山寛治は今日も川口寿々子の元へ向かっていた。

 

寿々子は太陽新聞社文化部で「よろず相談室」を担当していた。

 

そして寿々子が小説講座を担当していた時に出会ったのが寛治。

 

実はよろず相談室の相談に回答していたのは寛治だった。

 

相談を見えられた後、寛治は寿々子に裁判の傍聴に同席するように言いくるめられる。

 

 

 

寛治は小説家になりたかったが、まずは金が必要なのでお菓子を作る工場でアルバイトをしていた。

 

同じくバイトの安田榎本と休憩中。

 

二人の子どもへの話を聞いて、自分の母親の事を思い出す。

 

10分以上もの間殴られ続けた過去を持つ寛治。

 

それでも、殺意を持つのはおかしいと思っていた。

 

 

 

指示通り裁判所に来る寛治。

 

しかし、寿々子は現れない。

 

もちろん寿々子わざと行かなかった。

 

傍聴したのはバラバラ殺人事件。

 

寛治は身につまされる。

 

傍聴を終えた寿々子の元に。

 

寿々子に小説家としての欠点を正確に指摘されてしまう。

 

寛治はどんな事にも他人事だった。

 

小説家になりたいなら、登場人物に、物語に寄り添わなければならないと言われてしまう。

 

そんな寛治に寿々子から出された課題は、DV母からの相談への回答だった。

 

 

 

時は経過して、一人の大物小説家が生まれていた。

 

武蔵野寛治。

 

彼はベストセラー作家になっていた。

 

寛治は行方不明になった寿々子と再会するため、かつて住んだ”あの町”に行くと決める。

 

■西城秀樹が好きでたまりません

 

佐野山美穂は図書館で太陽新聞社のデータベースからよろず相談室の記事をプリントアウトしていた。

 

それは担当作家の樋口のためだった。

 

 

 

美穂は行きつけのサロンのエステティシャンが死んでしまったため(美穂のせい)、別のサロンへ。

 

そこで美穂の勤める出版社が福善社だと分かる。

 

さて、怪しいサロンのエステティシャンはなんと樋口のファンだった。

 

樋口の担当だと話すと特別に良い施術を無料でサービスしてくれた美穂。

 

良くわからないオイルをたっぷり塗りたくられて・・・

 

施術の内容がよくわからない美穂。

 

そのうちに全身が燃えるように暑くなる。

 

意識が朦朧とする。。。。

 

ネギアレルギーで死んだメグミの幻覚まで見えてくるが。。。

 

 

 

怪しいサロンで美穂を担当していたエステティシャン・カナコ

 

ようやく樋口に会えると感激していたが、その頃美穂は・・・

 

■口座からお金を勝手に引き出されました

 

福善社の岡部康。

 

長い間絶縁されていた武蔵野寛治からコンタクトがあった。

 

かつては売れない作家と上から目線で接していた岡部だが、今では大作家である彼にヘコヘコしなければならないことに苛立っていた。

 

岡部は武蔵野に会うために、彼の住む高級マンションを訪れる。

 

武蔵野の目的は寿々子に関する情報だった。

 

自分は寿々子によって育てられたのだと、暗に釘を差される岡部。

 

 

 

武蔵野に連れられて岡部は「ゴミ屋敷」に向かう。

 

ゴミ屋敷の隣の住人は武蔵野のかつてのバイト仲間だった榎本だった。

 

そしてゴミ屋敷に住んでいたのは小坂井剛。

 

どうやら、小坂井は本当に一千万のバッグをどうにかしてプレゼントしたらしい。

 

さらに、葛西はあのセクハラメールのせいで左遷されたらしい。

 

凄腕の占い師・サクヤ(ここまで度々登場してます)の活躍を知る。

 

 

 

武蔵野と岡部はハニーフラッシュを訪れる。

 

すると、カノンがハニーフラッシュのNo.1になっていた。

 

岡部はその席で調子に乗ってしまう。

 

散々釘を差されたにも関わらず、さも自分のおかげで武蔵野の成功したように得意げに話してしまう岡部。

 

二日酔いで目を覚ますと、家に家族は誰もいない。

 

机の上には一枚の封筒が。

 

中は離婚届と手紙。

 

岡部は妻の多額のへそくりを見つけていて、それに手をつけていた。

 

へそくりに手を見つけていたことも、カノンに貢いでいたことも妻にはバレていたのだった。。。

■占いは当たりますか?

 

寛治はキーボードを叩いていた。

 

そこに妻である芳美から声がかかる。

 

小説に「占い」を盛り込もうとすると妻に止められてしまう。

 

寛治は芳美に「小坂井剛」を知っているかと問われる。

 

小坂井剛はゴミ屋敷の住人だと知っていたが、寛治はあえて知らないと応えた。

 

 

 

場面はとある病院へ。

 

岡部はすっかり意気消沈していた。

 

その岡部を見るのも嫌になっていたのが美穂だった。

 

全身火傷を負いながらも美穂は一命を取り留めていた。

 

岡部から樋口の担当が実は自分ではなく、緒方友恵だったと聞かされて胸中穏やかでない美穂だった。

 

 

 

緒方は校閲の高橋に手を焼いていた。

 

病的に細かい高橋のせいで原稿が中々上げられないからだ。

 

それでも、恋人である高橋を信じる緒方だった。

 

 

 

岡部はリサイクルショップで樋口を見かける。

 

普段とは違い派手な格好の樋口はまるでホストのようだった。

 

そんな彼を尾行する岡部。

 

樋口に近づく女性が現れた。

 

ハニーフラッシュの元No1ホステスのアキナだった。

 

 

 

人気占い師・サクヤの原稿を取りに来ていた友恵。

 

サクヤに”ハラダ”というお客が来たためその場を後にする。

 

友恵に訃報が入る。

 

高橋がホームから転落死した。。。。

 

■助けてください

 

1通の投書から始まった悲劇の真相が明らかになる。

 

始まりは1994年。

 

寿々子が「大金を拾った」という投書の主に会いに行ったことが全てのきっかけだった。

 

寿々子は法律を利用して投書の主を守ろうとした事が多くの人間の人生を狂わせる。

 

偽名、犯罪が飛び交う最終章。

 

一体誰が生き残れるのか。

 

罪なく逃げ切れるのは誰なのか?

 

複雑な物語の収束。

 

「人生相談。」を読みを終えた感想

 

とにかくたくさんの登場人物。

 

その相関関係を理解しておくとより物語を楽しめます。

 

投書の主は誰なのか?

 

それらしい人は基本的にフェイクで最後にどんでん返しをする繰り返し。

 

徐々に繋がる物語は複雑ながら面白い。

 

最後まで目が離せない一冊でした!

 

 

 

それでは失礼しますm(__)m

 

 


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